Kripalu Newsletter - 家族愛に関するスワミ・クリパルの教え

「最も崇高な指針は「全世界はひとつの家族である(ヴァスデイヴァ・クトゥンバカン)」ということです。家族から切り離されているとき、あなたは愛から切り離されています。私たちに最も近い人たちは愛に飢えています。個々のハートにある蜜は、その人自身のためにあるのではないのです。この蜜をもって、他者に奉仕するとき、その蜜の流れは私たち自身のハートで高まるでしょう。」(スワミ・クリパル)

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スワミ・クリパルは、私たちそれぞれが家庭において、愛を育み、慈しみを持ち、忍耐強くあるという、マットの外での実践について熱心に執筆し、説法しました。家族愛に関するスワミの教え、「ハートにある蜜」について、親であり、長年のヨガ実践者であり、クリパルヨガ教師であるマイカ・モータリとヴァンディタ・ケイト・マルチェシロに話を聞きました。

自分に、他者に、慈しみを持つこと

[マイカ] 「ヴァスデイヴァ・クトゥンバカン」はコンセプトとして頭で理解しやすいですが、その考えに賛成だからといって、家族や友達、同僚との関係において、実際の行動で実践するのが容易というわけではありません。これはコミットするということです。コミットすることで、状況が難しくなったり、自分自身や他者に嫌な部分を見い出しても、日々の密接な人間関係を通して学びのプロセスに忠実に、自身への気づきを高めていくのです。これは日々の生活にコミットし、実践を続けるというタパスのことです。本当の愛は必ずしも心地よく感じられるとは限りません。

[ヴァンディタ] スワミ・クリパルは6人兄弟でした。4人の姉妹と兄がいましたが、スワミ・クリパルが7歳のときに父親を亡くしました。彼には家族に対して多大な愛がありました。彼自身は一生独身でいる決心をしながらも、講話では仕事や家族を持つ私たちに向けて、家族愛についてよく話をしたものです。私たちの個々のヨガの実践は、私たちの今後7世代の家族と、さらにその後の7世代に渡って影響を与えると言いました。過去のサムスカーラ(カルマの傷)を癒し、未来にインパクトを与えると。

[マイカ] ヨガの教えが家族愛について触れることはあまりありません。ヨガの古典を読むと、一般的に個人の成長やセルフケアについて書かれており、個々の内なる旅路にベクトルが向いています。スワミ・クリパルは家庭生活を精神的な実践と捉え、それが社会に多大な影響を与えること、それぞれのヨガの実践と離れたところにあるものでは全くない、むしろ実践の延長なのだと教えました。

[ヴァンディタ] 社会経済的な背景がどうであれ、また理想的とは言えない要素があったとしても、愛があれば状況を乗り越えることができます。子どもの頃、私はそれを実際に体験しました。

[マイカ] 小さな子どもたちは愛を吸うスポンジです。愛に満たせば、彼らは世界が安全な場所であると学び、傷を持たずに世界へ出て行くことができます。自分の家庭を愛の寺院にするのは、精神的な鍛錬です。私には、子どもたちの安全と健康に責任があります。子どもたちが自身を愛することができ、目的を探求し、達成する自由を感じられるような安心と愛に溢れた場を作ることは私の責任なのです。

[ヴァンディタ] スワミ・クリパルは、愛を持って、私たちのことを彼の子どもと呼びました。私たち一人ひとりの中に、子どものような純粋さを見いだし、慈しみを持って自身への気づきを高めるよう勇気づけました。自身を愛するには、献身とコミットが必要です。他者との関係においても全く同じなのです。

[マイカ] 「判断のない自己観察」の実践は、自身から始まり、友人、家族、同僚、生徒へと広がります。どのようなティーチングをするか、という基礎作りにもなります。他者を無条件に好意的にとらえることは、自身を同様に認めることから育まれます。しかし容易なことではありません。ティーチャーは、必ずチャレンジをもたらす生徒や同僚に出会います。人間関係におけるチャレンジはあらゆるところにあります。

長年、自身を観察することで、私は自分の間違いは認められるようになり、さほど自己弁護せずにフィードバックを受け取れるようになりました。私は、常に自分自身を観察し、どの領域で成長が必要なのかを見定めようとする習慣ができました。その実践を重ねることで、人間関係で感情的に反応しないようにもなりました。自己観察の実践は、特にパートナーや子どもたちといった人間関係において、他者にしっかりと耳を傾けるという非常に重要なことへ、私を自然と導いてくれました。

[ヴァンディタ] ヨガの実践は、成長中だった私の子どもたちに大きなインパクトを与えました。私が難易度の高いポーズができたかどうかとは無関係です。忍耐、慈しみ、耳を傾けること、心のこもった言葉を話し考える、といった人格形成と愛の質に関わることでした。アーサナ、プラーナヤーマ、瞑想の実践は、生理学的なインパクトを与えてくれただけでなく、より忍耐強く、より愛情深く、より寛容であるためのツールを私に与えてくれました。そして同時に、自分自身に対して忍耐強く、慈しみを持つことも教えてくれたのです。

スワミ・クリパルについて

クリパルとは、サンスクリット語で「慈しみ」を意味します。クリパルヨガという名称は、スワミ・クリパルという深い慈しみと精神修行の厳格さで有名なインドのヨガマスターに敬意を表して名付けられました。ヨガの実践と建設的なライフスタイルに関するスワミ・クリパルの教えは、今のクリパルヨガのアプローチの基盤になっています。

[スワミ・クリパルの言葉]

「心に愛の種を植えたい人は、忍耐という水をもって育てなくてはなりません。
 短気より愚かな無知はありません。
 なぜなら、短気は愛する人への愛を破壊する原因となるからです。
 もし私たちが愛する人に忍耐強くいられないなら、
 どうして相手は私たちに対して忍耐強くいられるでしょう?
 私たちは、最も近い人たちを愛することを学び、
 忍耐力をもつことを学ばなくてはいけません。」

「あなたの家族を愛しなさい。
 私たちの家庭はただの家ではありません。
 そこは愛の教室です。
 喜びが家族全員に広まるとき、家族はどんなに幸せでしょう!
 あなたが父親なら、本物の父親でありなさい。
 あなたが息子なら、本物の息子でありなさい。
 あなたが兄弟なら、本物の兄弟でありなさい。
 あなたが母親なら、本物の母親であるべきです。
 娘なら、本物の娘でありなさい。
 姉妹なら、本物の姉妹でありなさい。
 愛の基礎が家庭になければ、愛の寺院は建てられません。
 これこそが、家族愛は、私が好む指針である理由です。」

[米国クリパルセンター発行:Practice 2015年春号より抜粋]


2016-09-30

カテゴリ: Kripalu Newsletter

 

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