アーユルヴェーダの日々 - 3歳の息子と自然の理(ことわり)

やたらと遅い台風がやっと通り過ぎ、もう夏も終わりのような風情・・・今年の夏は、猛暑かと思えば、冷夏のような寒さとなり、天候の変動が激しかった。
激しい温度差には大人でも疲れを感じるが、3歳の息子も心身ともにタフな経験をした。一時期、寝起きに鼻水、じんましんなどデリケートな症状が続いた。食べるものをシンプルにしても、掃除をしても、出るときは出る・・・どうしたものかな、と思っていた折りも折り、鼻水に咳が加わり、発熱がはじまった。丸1日、ほとんど食べず、寝て、飲んで、汗をかいているうち、熱はすーっと下がり、多少の咳が残るのみとなった。そうしたら、約1ヶ月続いたアレルギー症状がぱったり止まった・・・驚くほどの変化だ。昼寝もしなくなり、1日中遊んでも疲れを感じない様子。以前より体力が増し、心も安定した。

この子どもの様子を見ていて思った。心身の不調が見え隠れしていたその1ヶ月は、必要な「タメ」だったのではないか。たとえ「不快」でも十分に高まれば、大きなエネルギー(熱)になり、自然と状況を変えていくのが命の力なのではないか。

「子どもの熱は”解毒”だから、下手に下げてはいけない」と、頭では知っていた。でも、こうして目の前で、ぐずぐずした状態から一転、晴れ渡った空のようなエネルギーに変わった子どもを見ていると、もっと深い所でそのことの意味に触れたような気がする。

現代は何か分からないことがあると、すぐにインターネットで検索し、簡単に「答え」を得ることができる。非常に便利、そしてスピードがある。「へぇ、納得。」とマインドが判断すると、それを自分にも即採用しがちだ。

しかし体験からくる「わかった」という感触はそれとは違う。時間がかかり、面倒なことも体験しなければならない。「待つこと」「タメること」そうした一見不毛にすら思えるプロセスがあるからこそ、普段とは違うレベルにエネルギーが高まり、自然と次のステージへ移行する。熱の浄化の力は、その自然の理(ことわり)全体のことを言う・・・

こうした体験から得た知恵は、自分にとっての真実、ゆるぎない自分の軸となり、次に困ったり、不安な状況に置かれても、そこに留まり、見守る余裕を自分に与えてくれるだろう。これは、クリパルヨガのモデルそのものでもあり、マットの外でのヨガの実践だと思っている。

それにしても人生とは実はうまく出来ていて、ひとつ、また一つと、その人個人に必要な体験が用意されているものなのかもしれない。

2011-09-09

カテゴリ: アーユルヴェーダの日々

 

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