クリパルヨガの3ステージ

ヨガにおける最も重要な教典の一つで『ヨガ・スートラ』(AD400~450年頃にパタンジャリによる編纂)という文献では、
次の八部門のことが述べられています。

1、ヤーマ(禁戒) 
2、ニヤーマ(勧戒) 
3、アーサナ(体位法) 
4、プラーナヤーマ(呼吸法)
5、プラティヤハーラ(制感)
6、ダーラナ(凝念/集中) 
7、ディヤーナ(静慮/瞑想) 
8、サマーディ(三昧)

クリパルヨガでは、この八部門の内、アーサナからディヤーナまでを、図のように3段階に分けています。

クリパルヨガの3つのステージ

最初の段階は、アーサナと呼吸を自分のマインドによって意図的にコントロールするステージ1です。次に、マインドによって体が最大に開かれるところを探りながら、数分~15分程度一つのアーサナを保ちます。この保持によって体の奥深くにうっ滞していた緊張が弛み、プラーナとして動き始めます。マインドが自分を超えた大きなプラーナと共存しながらアーサナのバランスを取るのがこのステージ2の段階です。

このマインドとプラーナのバランスは心身の健康に欠かせないものです。マインドが優位になれば、体の自然なプラーナの欲求を無視して理屈で物事を考える傾向に走り、プラーナが優位になれば、感情の起伏が激しくなり現実を省みる能力に欠けてしまうからです。

クリパルヨガのステージ3では、マインドとプラーナのバランスを保ちながらも、そのどちらにも惑わされない冷静で客観的にただ目撃するだけの意識(目撃意識)が目覚め、プラーナが体の動きを自由に誘発する「動く瞑想」が始まります。

ヨガでは、アーサナと呼吸のバランスが重要なことですが、クリパルヨガでは、さらにアーサナをしている自分の内面で起きていることを重視しています。アーサナで体を動かすとさまざまな肉体感覚や思考や感情、記憶や空想などが表面化してきますが、そのような現象をしっかりと認識し体験することは、日頃、心の揺れ動きによって見失っている本来の自己を取り戻す大切なきっかけになるからです。

心身をリラックスさせ、あるがままを感じ、観察し、受け止め、自然の成り行きに身を委ねる練習によって、クリパルヨガは、体を入り口とした自分自身を理解するツールとなり、マットの上ばかりでなくマットから離れた日々の生活の中にまで幅広く活かせるようになります。大切なことは、一瞬一瞬に起きていることをあるがままに気づき、真正面から受け止めるやさしさと寛容なハートを培うことです。