ヨガと呼吸

「クリパル・エクスプレス」Vol. 27(2009.04.15発行)より抜粋

ヨガというと、ポーズの次に呼吸をイメージする人が多いと思います。確かに、ヨガの練習で呼吸はとても重要とされていますが、多くの場合、息の流れを変えたり、止めたりすることが強調されます。力強いカパーラバーティや左右のエネルギーを操作する手法は、やり方さえわかれば、ほとんど誰にでもできるものですし、それによって、心の集中力が高まり静かになります。やっていて面白く、さらに効果抜群。文句なしです。このような呼吸に対するコントロールは、何をしたらいいのか「すること」を与えてくれるという意味で、魅力的だと思います。

しかし、実際のヨガの練習ではポーズをしている最中の呼吸が「上手くできない」「どうしていいのか分からない」というコメントをよく聞きます。慣れない体の動きをするのですから、呼吸が苦しかったりするのはあたりまえのことです。「正しい呼吸」をしようとするあまりにかえって力が入ってしまうこともあるでしょう。

呼吸というのは、心身が緊張すれば速くなったり浅くなったりしますが、逆にリラックスすれば、ゆっくりと深くなるものです。これは自律神経によって司られているからで、この反応が逆になっていたらとんでもないことです。夜寝ようとしているときに荒い呼吸をしていたら眠れないのと同じように、全速力で走ろうとしている時に、ゆったりと呼吸していたら走れないでしょう。自律神経の働きによって人間は必要な時に必要な呼吸をして心身のバランスが保っています。

「正しい呼吸」という概念は、何かを基準に比較するからあるのであって、その時々の必要に応じてしている体の呼吸には何も責められる責任はありませんし、意識的に制御することもないのです。大切なのは、あるがままの呼吸を観察することで自分の体と心に起きている現実を客観的に観ていく力を養うことと、その呼吸をコントロールする試みによって、コントロールする心の側に生じる変化と体への影響だと思います。

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