クリパルヨガの特徴⑥:自己探求

人生を長く生きれば生きるほど、人生は未知と謎に満ちていると感じます。ヨガもちょっと似ていて、続ければ続けるほど、分かる領域が増える一方、分かっていない自分の無知の大きさに気づくようです。

ヨガに対して一般にイメージされているポーズや呼吸法や瞑想の実践ですが、故スワミ・クリパルは、ヨガの中で最も大切なことは、自己観察(スヴァーディヤーヤ)だと述べていました。ポーズや瞑想はそれら自体が目的なのではなく、自分自身を知るための手段だと言うのです。

「自己観察することがヨガそのものなのだ」という考えは、ヨガの教典「ヨガスートラ」に対する解釈にも出ています。1章1節に出てくる「Atha Yoga Nushasanam」という表現は、一般的に、「Now, the instruction of Yoga」(今からヨガの教義を始める)と訳されることが多いですが、クリパルセンターでの解釈では、「Now, the inquiry of Yoga」(今からヨガの探求を始める)と表現しているからです。

「教義を始める」ならすでに出来上がっているものを学ぶ印象がありますが、「探求を始める」となると、ヨガとは何なのかまだ分からないが、これから探っていこうという姿勢が見られます。また、探求する中で体験することは、各自まちまちであるかもしれないという予感もあります。

また、クリパルヨガ教師トレーニングのマニュアルには、こんなことが書かれています。「、、、クリパルヨガの練習と実践は、「私は誰なのか」「私はどこから来たのか」「私のここでの目的は何なのか」「私はどこへ行こうとしているのか」といった人類太古からの問いに対する答えを、あなたに代わってするものではありません。クリパルヨガは、疑問と謎の中でも、安心して、しかも、畏敬の念を抱きながら生きることを可能にするのです、、、」

未知の連続である現実の中で、答えや結論はすぐには見つからないかもしれない。しかし、大切なことは、自己に対する問い掛けを続けること。その探求すること自体がヨガなのだというスタンスです。

分からないでいること。その現実をどこまでも肯定し、それでも探し求める姿勢を支えてくれること。クリパルヨガの実践は、その未知の現実を受け止める強さと優しさを自分の内に育む練習なのです。

ポーズを取りながら、今日の自分の体はどこが開き、どこが開かないのか探ってみてください。そこで、呼吸がどんな風に流れ、詰まるのか感じてみてください。そして、この体の中で心の思いや感情がどう揺れ動くのか観ていてください。何事も決めつけず、一瞬一瞬を、新鮮で未知の体験として向き合う姿勢、それ自体がヨガの探求であり、クリパルヨガで言う自己探求の始まりです。

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