クリパルヨガの特徴⑪:ヨガスートラの解釈

古代からのヨガ教典の一つとして、パタンジャリの『ヨガスートラ』があります。それまでの様々なヨガの行法を、「8支則」として以下のように8つの部門に体系化したことが大きな貢献として、今日でも重要な手引きとなっています。

1、ヤーマ(禁戒)
2、二ヤーマ(勧戒)
3、アーサナ(ポーズ)
4、プラーナヤーマ(呼吸法)
5、プラティヤハーラ(制感)
6、ダーラナ(集中)
7、ディヤーナ(瞑想)
8、サマーディ(三昧)

ヨガは、心の揺れ動きを静め、本来の自己を取り戻すという目的がありながら、この8支則をどう解釈するかは、人々の世界観や住む時代によって異なります。ここでは、2つの解釈の仕方を取り上げ、その違いに触れてみます。

一つは、1~8までの8支則を、ピラミッド式に下から上に段階を追って進んでいくという解釈です。多くの習い事で行う方法なので、一般的に慣れ親しんだ方法でしょう。一つの段階をマスターしてから次の段階へ行くので、当面はそれぞれの段階を達成することがゴールとなります。しかし、その一方で、最終段階は、遥か彼方にあるゴールとして、自分たちの意識からはかけ離れてしまいがちなので、アーサナなら、アーサナだけの完璧性に固執しがちです。全体の中の一つでしかないということを見失いがちです。

もう一つは、8支則を車輪のハブのようにそれぞれが一つの車輪を繋げる軸として並列にとらえる解釈です。そこでは、8つの部門それぞれは、それ自体がゴールというよりも、ヨガの目的を達成するためのツール(手段)となります。一個の車輪を回転させるために、一つのハブだけが動くのではなく、すべてが同時に動き、支え、補完し合うという解釈です。

クリパルヨガは、他の流派と同じように8支則に基づいてはいても、その解釈は、車輪のハブのようにとらえていることに特徴があります。スワミ・クリパルは「クリパルヨガの美しさは、ポーズと呼吸と瞑想が別々に起きているのではなく、すべてが同時に起きていることです」と述べています。

パタンジャリがどのような意図で8支則に体系化したかは別として、解釈の違いによって、ヨガに対してのアプローチにも変化が起きることは興味深いことです。原書の著者が何を意図していたかを純粋に研究するのは学問ですが、学問はそのままでは日常に活かせるものではありません。読み手が自分の人生に照らし合わせてどう解釈するかによって、そのエッセンスを自分の生活へ応用できるかどうかが決まるのだと思います。

ところで、クリパルヨガでは、このパタンジャリの8支則をさらに斬新な切り口から解釈を加え、宇宙の根源であるチッタ(意識)とプラーナ(生命エネルギー)という2つの要素を包括したパノラマ的視点を展開したのです。そこから生まれたのが3つのステージというヨガに対するアプローチであり、それぞれのステージを漸進的なプロセスとして、誰にも体験できる実践方法を編み出しました。次回の「よくわかる!ちょこっとヨガ講座」 では、このクリパルヨガの哲学であり実践方法である3つのステージについて述べていきます。

  • LINEで送る

コメントをどうぞ